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2010年 02月 08日
ロバート・フォーチュンの中国での様子を日本語で読めないかと、
上記書籍を手に取ってみた。三十ページ余りの記述があった。 フォーチュンの収集が主に種苗店の園芸品種だと聞いた時には、 それでは「ハンター」ではなく「バイヤー」ではないかと思った。 しかし、群衆に投石され、猪の罠穴に落ちそうになり、 海賊の襲撃に銃で反撃し、という話を読むと、 やはりなまなかなことではなかったのだと分かる。 弁髪に中国服で変装して、 立ち入り禁止地域だった蘇州に潜入したとある。 洋装の顔写真を見ると、そんな無茶なと思うが、 「まったく周囲の注意をひかなかったようだ」とのこと。(p.148) 蘇州では「八重咲きの黄色い薔薇」を手に入れた、ともある。(同) フォーチュンズ・ダブル・イエローのことかと思ってしまうが、 先日読んだ“A Rose by Any Name”には、彼自身の著作からの引用付きで、 後年彼の名を冠する「黄色の八重のつる薔薇」を「寧波の中国人邸宅」で見つけ、 「ファイブ・カラー」も、同じ時に別の庭で見つけたとある。 (“A Rose by Any Name”p.117-118) 蘇州の黄色い薔薇はどんなものだったのだろう。 知りたいところにいまいち届かない感じがもどかしく、 “Three Years' Wandering in the Northern Provinces of China” /『中国北部 三年間放浪の旅』に直接当たりたいところだ。 しかし今はこれ以上、読む英文を増やしたくない。 誰か翻訳してくださらないだろうか。 漫画『タンタンの冒険』や映画『インディー・ジョーンズ』のような活躍の後、 引退したフォーチュンは、東洋で収集した美術品を売って大儲けし、 「十八年間おだやかな隠居生活を享受した」とのこと。(p.169) 旅先で客死したプラントハンターも多い中、なによりの老後である。 雪上のプラントハント。 ところでシーボルトだが、 1960年に江戸に招かれ「枢密顧問官付相談役」に就任しているとのこと。(p.39) これでますます、1961年に神奈川奉行所の役人が シーボルトを知っていても不思議はなくなった。 アリス・M・コーツ(Alice M. Coats) 1905-78年 英国人 挿絵画家・園芸植物史家 『プラントハンター東洋を駆ける』(遠山茂樹訳・2007年)は、 アフリカ、南北アメリカなども含む "The Quest for Plants: a History of the Horticultural Explorers" 1969年 から、東洋の部分のみ訳出したもの。
by pippinrose
| 2010-02-08 07:49
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Comments(6)
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sakillus at 2010-02-08 10:04
フォーチュンズ・ダブル・イエローって、「ロバート・フォーチュンによって発見された」との記述がしばしばあるので、野か山で発見したのかと思っていましたが、「寧波の中国人邸宅」だったんですね!
時代的な諸事情もあったとするとなるほど〜といった感じです。 ご紹介ありがとうございます。 わたしのブログで書いた、最近頼んだ薔薇がその薔薇なんです。 いずれちょっとおもしろそうな仕立て方をする予定です。ふふふ〜。 ちなみに「寧波の中国人邸宅」で発見した年は書いてありましたか? help me findでは1845年以前とありますが。
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ぴぴん
at 2010-02-09 10:20
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sakiさん わたしが今回フォーチュンについて読んだのは、
やはりわたしも「フォーチュンは野か山で発見した」と思っていたのが、 そうではないと聞いてのことです。 日本の開国期同様アヘン戦争直後の清国は、 外国人の立ち入りが、特定の港湾都市に限定されていたのですね。 植物の発見というところばかりでない、異文化との接触という意味で、 フォーチュンの見聞記は面白いと思います。 "A Rose by Any Name"には、発見年は書いてありませんが、 フォーチュンの引用部に「五月」とあります。 『プラントハンター東洋を駆ける』によると、 1944年の5月には寧波に居たようですが、翌年にも居たかもしれず、 ちょっと分かりません。 隔靴掻痒でイライラするので、その部分だけでも読もうかなと、 “Three Years' Wandering in the Northern Provinces of China” を注文してしまいました。 本が届くのはだいぶ先になりそうですが。 sakiさんのダブル・イエロー、どんな仕立てになるのでしょうか。 いずれブログで拝見させてください。
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plum
at 2010-02-13 08:12
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ブログ3周年おめでとうございます。
ふりかえれば何かしらのご自分の変化を実感できて これからはこうやっていきたいとか、こうなりそうだと想像したり ぴぴんさんにとってほどよい刺激になっているのがいいですね。 ファイブカラーは「中国人邸宅」で発見でしたか~ 自国に持ち帰って喜ばれる可能性としたら 野山の原種より、苗業者や個人宅が持っている選抜種のほうが 魅力があるでしょうから、だんぜんいいですよね。 私もダブル・イエロー、小さな苗を持っています。 昨春に友人のお庭で見せてもらって、お庭向きの仕立てがいのあるバラだなあと思いました。
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ぴぴん
at 2010-02-13 09:28
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plumさん ありがとうございます。
ふりかえると、 「以前はこんなに毎日更新したい気持ちがあったんだなぁ」と、思います。 それらを出してみたからだと思いますが、 今はそれほどあれこれ記事にしたい感じはなく、ゆったりしています。 >ほどよい刺激 そうですね。あまり強い刺激は要りませんが、 あまり刺激が無いで自力で開拓するのも疲れます。 "inside a Ningbo mandarin's compound"の "one of the gardens" で、どちらも見つけたようです。 「プラント・ハンター」という用語に惑わされたのですが、 考えてみれば、あのような魅力的な薔薇が「野山にしかない」と思うのは、 当時の清国の文化度を無視していました。 園芸種として庭にあって当然です。 ダブル・イエローで埋め尽くされた壁を見つけてフォーチュンは、 「すぐさまかけよった」とあります。 発見の喜びが感じられる描写で、読んでいてわたしも嬉しくなりました。
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YOKO
at 2010-02-14 23:28
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ぴぴんさん、こんばんは。
フォーチュンズ・ダブル・イエローと寧波のつながり おもしろく読ませていただきました。 どうでもよい話なんですが(じゃ、書かなきゃいいのにね^^;) 私が2年前、初めて中国に渡ったとき飛行機が最初に着陸したのが寧波空港でした。 単に目的地の上海空港に着陸できなかったからなんですが 忘れられない名前になっています。 ダブルイエロー、sakiさんもplumさんもお好みの良いバラのようですね。 私もひとつ、記念に迎え入れたくなりました。理由がかなりこじつけっぽいですけど。(笑) 私もこちらの日記を楽しみにしている一人です。 どうぞ4年目も5年目も、ゆっくりでいいですからずっと続けていってくださいね!^^
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ぴぴん
at 2010-02-15 09:06
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YOKOさん おはようございます。
寧波に降り立ったことがあるのですね。 『プラントハンター東洋を駆ける』には、ジョージ・フォレストというひとが 大理を拠点にゲンチアナやメコノプシス、プリムラを採取する話があって、 読みながらわたしはYOKOさんを連想していました。 「五月の晴れた朝。前方の壁をすっかり覆った黄色の花のかたまりに、 わたしは衝撃を受けた。その色はよくある黄色ではなくて、 どこか淡いところが特別な印象を与えている。 わたしは喜びと驚きにすぐさま駆け寄った。 最高に美しい、新しい黄色の八重つる薔薇をみつけたのだ。」(ぴぴん訳) ダブルイエローが現代人の目にどう映るかは分かりませんが、 これだけの喜びを彼に与えた薔薇であることは確かです。 ブログを三年やってみたら、 自分はいつまでこれをやるんだろうと思いました。 でもまぁ、ともかく今年は続くようです。 お時間のある時に見に来ていただけましたら嬉しいです。^_^)
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