by pippinrose
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2010年 05月 12日
「タクティール」というのは、ラテン語の
「タクティリス/触れる」に由来する言葉だ。 1960年代のスウェーデン。未熟児医療に関わる看護士たちが、 小さく生まれた子どもに母が手で触れるケアに、 母子双方にとって良い効果があると気づいた。 1996年、認知症緩和ケア教育の専門機関として設立された 「王立財団法人シルヴィアホーム」で、緩和の補完的手法として タクティールケアを導入した。 2005年、「日本スウェーデン福祉研究所」は「シルヴィアホーム」と提携し、 2006年、タクティールケアを含めた認知症緩和ケアの、 教育プログラムを広め始めた。 この経過から、日本でタクティールケアを受講した数千人の 8割以上が医療や介護職だとのこと。 しかしスウェーデンではDVのケアや虐待防止の手法に用いられ、 日本でも虐待やいじめ防止の効果を狙って、 幼児・児童への応用が試みられているようだ。 * * * * 未熟児医療が源にあるためだろうと推察するが、 タクティールケアは、 「マッサージ」のように「揉む」「押す」のでなく、 「ゆっくり・しっかり・やわらかく・さする」ものだ。 講習会では、手順やコツを体得すべく、 先生に教わりながら受講者同士で練習する。 習い初めのひとからでも、 「ゆっくり・しっかり・やわらかく・さする」をしてもらうと、 身体や意識がゆるんで来て、眠くなったり、 ちょっと甘える感じがわいて来たり、 自他の境界が淡くなってふわふわしたりする。 おもしろいことに、 「ゆっくり・しっかり・やわらかく・さする」をする側のひとも、 身体や意識がゆるんで来て、眠くなったり、 息がゆっくり深くなったり、 相手と渾然一体となるような感覚になったりする。 お互いに気持ちがよいというのは、 身近なひと同士で行うものとしてふさわしい。 一方に負担があると長続きしないし、 互いの関係を変えてしまう可能性もある。 わたしが習って来たのは手足と背中のケアで、 手足はオイルを使って直接肌に触れるが、 手首・足首より先の身体の中心には向かわないし、 背中は衣服の上からでもよく、おおげさにならない。 両手・両足に20分ずつ、背中に10分。 場合に応じて10分から最大1時間近く、 相手と共に居ることができる。 1時間も喋ったらお互い疲れるし、 失言や行き違いも出やすくなるだろうが、 「タクティールケア」では 受ける側のひとが喋らなければ特に喋らず、 言葉以前の体感で、脳が休まる。 「ここちよさ」を感じて欲しい願いを手のひらに乗せて伝え、 相手の心身の反応を受け取る「コミュニケーション」。 これはまさにわたしが、米国の母のベットサイドで、 彼女に「寄り添う」ために欲していたものだと感じる。 * * * * 本を読むだけで身につけるのは難しいとは思うが、 タクティールの成り立ちや、写真入りの実技紹介、 研修センターや導入している施設を紹介した、本も出ている。 『タクティールケア入門』タクティールケア普及を考える会・編著 日経BP企画。
by pippinrose
| 2010-05-12 08:47
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