by pippinrose カテゴリ
以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 more... 最新のコメント
記事ランキング
ブログパーツ
|
2011年 06月 18日
この二書は、1995年の阪神淡路大震災の時、
神戸大学病院精神科部長であった中井先生の記した、 被災者・被災救援者・来援者・県外疎開者などの記録である。 『災害がほんとうに襲った時』は、1995年3月刊の 『1995年1月・神戸 『復興の道なかばで』は、1996年4月刊の『昨日のごとく』から再編集し、 さらに今回の震災後に追記した文章が収められている。 当時は新しかった「ボランティア」や、 被災者・救援者への「こころのケア」が、 今回は早期から報道で言及されており、 十六年前の学びが継承されているのを感じる。 『復興の道なかばで』のあとがきに、神戸の時には、 「こころのケア」という言葉であったものは、今回、 「「こころに寄り添う」という言葉が それを指すようになっているかにみえる」とある。(p.173) 「ケア」なる具体物があるかに感じられる 「こころのケア」という言葉に比して、 「こころに寄り添う」という言葉は、 「寄り添う」姿勢に焦点が当たるように思われる。 自衛隊や、各都府県からの消防・警察・ライフライン関係者を見て、 うれしく、涙が出たという被災者の言葉を聞くと、 救援者の「存在」そのものが「こころへの寄り添い」になっていると感じる。 昨年のチリの落盤事故で救出されたひとのうち、少なくともふたりが 「これ以上、どんな気持ちかと聞かないで」 「もう心理学者のお世話にはなりたくない」と、 心理学者への不満を語っている。(朝日新聞2010年10月14日) 安全な環境なしに体験や気持ちの表現を求められて、 「寄り添われている」と相手は感じられるかどうか。 「こころのケア」のつもりでいるひとは、 ふりかえる必要があるのだろう。 『災害がほんとうに襲った時』2011年4月,『復興の道なかばで』2011年5月 中井久夫 みすず書房
by pippinrose
| 2011-06-18 10:45
| 活字
|
Comments(2)
|
ファン申請 |
||