by pippinrose カテゴリ
以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 more... 最新のコメント
記事ランキング
ブログパーツ
|
2013年 11月 14日
お誘いを受けて、汐留ミュージアムに
「モローとルオー 聖なるものの継承と変容」展を見に行った。 モローの神話を題材にした絵画は、 見ると悪夢になりそうでわたしは苦手で、 画家自身にもあまり関心を持っていなかったのだが、 今回、彼が古典重視の官立学校にありながら 弟子の個性を尊重する先生であったのを知った。 彼自身が個性的な人だから、だったろうか。 ルオーはモローの弟子で、労働者階級の出身。 今回の展示では二十歳代から七十歳代の作品があり、 四十歳くらいで画風が確立したのが はっきり見えて面白かった。 七十歳頃に描かれた 『三本の十字架』二枚と 『ゴルゴダの丘の聖女たち』の色と形、 また、七十七歳の時の 『避難する人たち(エクソドス)』の、 先が分からず土地を離れる人の悲しみが しみじみと心に沁みた。 『避難する人たち(エクソドス)』を見ながら 改めて思ったのは、美術館で見る宗教美術は、 どこか寂しいということ。 たとえば、 フランスの野中にあるシャルトルの街の 大聖堂の中のステンドグラスや、 京都郊外にある平等院鳳凰堂の 阿弥陀如来と雲中供養菩薩群などは、 周囲の環境ごとそこに在って、 全体を知るにはこちらから行くしかないが、 美術品となり転々と居を移す宗教画は 故郷の無い寄宿者のようだ。 宗教美術以外については そういうことを感じたことは無かったのだが、 世俗的な作品も故郷の土地を離れて見ると、 やはり何かが失われているのかもしれない。 「個人蔵」になっている ルオーのゴルゴダの丘の絵が、 その人の家屋敷でちゃんと場を与えられて、 受難を黙想させる手がかりとして 働いているのだといいなと思う。 写真は共に、近所のお寺から。
by pippinrose
| 2013-11-14 08:18
| 視覚
|
Comments(4)
Commented
by
ミセスサニー
at 2013-11-14 22:04
x
なるほどそうですね。国立博物館に陳列されている仏像コレクションのどこかさびしげな風景も。生かされる場所に置いてもらえる作品は幸せなのでしょう。
画家のことをゆっくり感じることができるという点で、一人か二人の作品展は魅力的なのですね。 「過去三十年間おいしい食事が作れなかった・・」という文書を読んで笑えました。おいしくてよかった、とこちらまでうれしいです。
Commented
by
ぴぴん
at 2013-11-15 07:36
x
ミセスサニーさん 博物館の仏像コレクションは確かに寂しげです。
お寺の建物も、お坊さんが読経すると活きるなぁというのを、 一昨年高野山で体験して来ました。 二世代の「継承と変容」を見せるという、企画がしっかりしている会でした。 目玉の一枚を見るのや、同世代を横断的に見るのとは、 また異なる味わいです。 料理の記事、微笑ましく思って頂いてうれしいです。 あの週はヒット続きだったのですが、今週は多忙でいまいちです。 でも、自分にもあのレベルがあると分かったので希望が持てています。
Commented
by
クミン
at 2013-11-16 14:19
x
ぴぴんさん、こんにちは^^。
私はルオーを「同世代を横断的に見る」展覧会で小品を見たことしかなかったので、まとめてちゃんと見たのは初めてでした。 同じくモローも「ずっと好き」と言いながら、これも実物を見たのは(若い頃)倉敷で小さな水彩画だけだったので、今回しっかり見れてすごく嬉しかったです。 良い展覧会を見れて本当によかったと思います。 > 美術品となり転々と居を移す宗教画 言われてみれば、確かにそうです。 >「個人蔵」 作家の手を離れた作品の定めって言うのかなぁ・・・。 できるだけ良い人の許にあってほしいですね! それから、ぴぴんさんの考えられた事とはちょっと違うのですが、私は発掘された歴史上貴重なものを博物館が地元から取り上げるのが、なんだかな~と思います。 どうも権威とか権力に敏感に反応(嫌悪)するみたい(笑)。
Commented
by
ぴぴん
at 2013-11-16 20:35
x
クミンさん いい展覧会でしたね。
わたしばずいぶん前にブリジストン美術館で、 他の作品は覚えていないのですが、ルオーだけ記憶に残りました。 モローはいまだに「ユピテルとセメレ」のユピテルの顔が いまだに思い浮かんでこわいです。 あちこち巡るもの、遠出するものの役割もありますけれどね... 個人蔵の作品を、今回のような企画に貸し出してくださる方は、 ありがたいです。 「オレのモノだから死んだら燃やせ」とかいうひとは困ります。 「地元からの取り上げ」は、一言で評しがたい問題です... 難しいところです。
|
ファン申請 |
||