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2016年 12月 17日
政治思想家の丸山眞男は、
大正時代に幼年期を送り、 高校時代には官憲に左派と目され、 大学二年で二・二六事件。 東大助手時に日米開戦。 三十一歳に広島で被曝。 六十年安保で国会デモに参加。 七十年安保で学生の吊るし上げにあい、 体を壊して療養、五十七歳で退職。 著作を続けた後、八十二歳で死去。 私は法学徒でも政治学徒でもなく、 この本の中に出てくる固有名詞や概念が すっかり分かるわけでもないが、 「時代の雰囲気が、大学一年、二年、三年と、 ぜんぶ違う」(上巻p.193)なかで成人し、 戦中戦後の激動の時代を生きた人の言葉に、 時代の転換期にいる自分が 時局に流されないための軸を探した。 * * * * 民主主義の相対主義と寛容が 絶対主義的なイデオロギーにも寛容を認めたことで ナチに対する抵抗を不可能にしたのではないか、 という反省から、戦後ドイツでは、 「自然法」の復興が急速に起こったという。 「自然法」は、歴史的・時代的制約を越えた規範で、 「天賦人権」「基本的人権」の概念は この伝統の上にある。(上巻p.260-261) * * * * 儒教には自然法思想はあるけれど 自然権という考え方は「決定的に欠落している」 「前国家的・前社会的権利という発想自身がない」と、 丸山は指摘する。(p.273) 「日本の伝統に還る」と失われるもののひとつが、 これだ、ということ。 * * * * 語りの中に引用されている言葉から、二つ。 「あなたは政治が嫌いかもしれない。 しかし、いくら逃げても、政治のほうがあなたをつかまえる」 G.D.Hコール (上巻p.147) 「祖国のために死ぬといって戦争を美化するけれど 祖国のために死ぬではなくて、祖国のために殺すのだ」 C.D.バーンズ。(下巻p.18) 秋にこぼれ種が発芽し 冬に咲いた西洋朝顔、ミルキーウェイ。 丸山眞男『定本 丸山眞男回顧談』(上・下)、岩波現代文庫、2016年。
by pippinrose
| 2016-12-17 08:58
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