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2007年 04月 17日
『レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の実像』展の目玉は、
フィレンツェのウフィツィ美術館収蔵、「受胎告知」だ。 美術鑑賞の対象になるものは、これ一点だけ、というのが正確か。 「受胎告知」は、わたしが西洋絵画に興味を持ち始めた頃に、 理解の手がかりとなった画題だ。 大天使ガブリエルが聖母マリアに、救い主を受胎したことを伝える場面。 数百年に渡って同一主題の作品が描かれているので、 描き方の変遷から、絵画史の一端を伺うことができる。 ダ・ヴィンチの「受胎告知」は、 98×217の横長の画面の左右にガブリエルとマリアが位置し、 二人の間には書見台や空があって、視線が二人に定まりにくい。 間の空間に青く霞む山が、キリストを象徴すると解釈されていると、今回知った。 確かに、目はそちらに行ってしまうので、山が何かでないと、収まりが悪い。 絵画は見ればわかると言われるが、 画家と見手が、前提する文化を共有していないと、困惑することも多い。 わたしが最初期に惹かれた西洋絵画がモネだったのも、 宗教的な背景無しで見られるからだったろう。 元々修道院だった建物をそのまま美術館にした、 フィレンツェのサン・マルコ美術館には、キリスト像を主とした壁画が、 個室にも、共同の空間にも描かれている。 フラ・アンジェリコの「受胎告知」は、 階段下から見上げる、突き当たりの廊下に描かれている。 天使の羽根は、現世の鳥とは別の存在として輝いている。 マリアは天使と目を合わせ、身体をやや丸くして、重い言葉を受け止めているようだ。 その、静かな覚悟のようなものが、美しい。 「静かなもの」を好むわたしとすると、 どう見ても鳥の羽根である天使と、立派な建物内の豪華な衣装のマリアよりも、 フラ・アンジェリコ版がなじむ。 ダ・ヴィンチの、現実界を再現する技術がすばらしいことには感嘆するけれど。 ベランダの天使の顔。(FL・エンゼル・フェイス)。
by pippinrose
| 2007-04-17 07:54
| 視覚
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Comments(2)
ぴぴんさん、こんにちは
>絵画は見ればわかると言われるが、 >画家と見手が、前提する文化を共有していないと、困惑することも多い。 私は、絵は好きか嫌いか以外はほとんどわかりませんが、 ぴぴんさんのこの表現はとても理解できます。 私にとっては、いわゆるヨーロッパの宗教画はその典型のような気がしています。まず背景となっている宗教を理解していず、その時代の文化や生活も実感できず、... 絵画には文化や生活が凝縮されるからなのか、小説や普段の会話などよりもずっと違いを感じる気がします。 エンゼル・フェイス、微妙なフリルが優雅ですね。
Commented
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ぴぴん
at 2007-04-17 17:39
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せんさん わたしも、絵は好きか嫌いかの範囲です。
わたしの場合、言葉は、わかったりわからなかったりする感触が明確で、 絵は、自分がわかってるんだかわかってないんだか、わからなくなりがちです。 絵についても、見たものがある程度言葉になると、落ち着きます。 西洋のものだけでなく、わたしは東洋の古典の素養が弱いので、 仏像や絵巻などを見ても、ピンと来ないことが多く、もったいないです。 エンゼルフェイスは、コンパクトで丈夫で香りも良いです。 うちのベランダでは、色と花容が、ちょっと浮いてますが。^_^;)
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