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2008年 03月 11日
著者の森達也は、もともとテレビ番組を作るひとだった。
1995年、新新宗教のひとつが起こした大事件の最中に、 その教団の施設内に取材に入る。 しかしその影像は、テレビでの放映が叶わなかった。 1997年、影像はドキュメンタリー映画『A』として完成された。 英語字幕が付いて、米国宗教学会でも上映された。 2001年、その後の信者の姿を撮った『A2』を発表。 文章での発言も多くなって行く。 『A』『A2』の二映画。『放送禁止歌』に関するテレビ番組。 「超能力者たち」について書いた『職業欄はエスパー』。 発表メディアは違えども、直接相手に会い、 ステロタイプに帰結させず、両論併記による中立に頼らず、 自分の反応を手がかりに考えていく彼の姿に、わたしは惹かれた。 彼は取材する相手に、「僕」と「○○さん」として接する。 それは、相手が新新宗教の信者であろうと、 超能力者であろうと、死刑囚であろうと、 さほど変わらないように見える。 相手を聞くための質問が見事だ。 今年上梓された『死刑』で、彼はこう書いている。 被害者遺族が持つ応報感情に社会全体の治安悪化への不安や恐怖などが重なって、 「許せない」「成敗せよ」のような威勢の良い述語が、 今のこの社会に流通していることは確かだと僕は思う。 このような述語を口にするとき人は、 「俺」や「私」などの一人称単数の主語を失い、 「われわれ」や「この社会」「国家」などの複数代名詞を主語にしている。 だから述語が暴走する。正義や善意を燃料にして攻撃的になる。 『死刑』の読者となったわたしは、彼に問われているように感じる。 「あなたはどう考えるの?」と。 「わたし」の考えは、明日記す。 白木蓮。
by pippinrose
| 2008-03-11 07:24
| 活字
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Comments(4)
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きんぎょ。
at 2008-03-12 08:38
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何かをしょっちゃうと、人って強くなる。
それは素敵なこともたくさんあるし、怖いこともある。 『力』って、いいもの?悪いもの? どちらでもあるもの、不安定で、暴走したら手に負えないものを、 つかまるのにさえ必死で操ろうとするものだから、目をつぶってしまうの? 振り回されて、自滅していく。 わたしは、もっとふわふわとしていたい。 目をふさぐわけでもなく、何も考えないわけでもなく。 しっかりしていたいと思う部分は、自分の周りの小さな幸せに気づけること。 それって結構忙しくて、 大義とか、集団とか、継続的な強い力に繋がるところに行き着くことって難しい。 つらつらとそんなことを考えていました。 鍵コメでつぶやきたいような。しっかりとした文章、考えにまとまらないのです。
『死刑』を考える時、私は「われわれ」とか「この社会」とかではなく、「自分が被害者の遺族だったら」と考えてしまいます。愛する家族が苦しい目に遭って命を落としたら、加害者にも同じ思いをさせたいと思ってしまう・・・仇討ちの許されない現代で、遺族に許された唯一の復讐の機会。――しかし、実際に自分がその立場に立った場合、加害者に死刑を望むかというと、微妙なところです。加害者の命を奪ったとしても亡くした家族が戻ってくるわけではないという空しさもありますし、人の命を人が奪うという事に少なからず抵抗があります。加害者のかわりにもし家族が生き返るのであれば、迷わず死刑にしてもらうでしょうけれど。
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ぴぴん
at 2008-03-12 10:49
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きんぎょ。さん まとまらない時にはまとまらないように意識しているのが、
いいなと思います。 非表示コメントなくしてしまいましたが、 つぶやける範囲でつぶやいて頂けたら嬉しいです。 背負うと強くなるというのは、ありますね。 それが素敵でもあり怖くもあるというのも、同感です。 ふわふわと、しなやかに、小さな幸せに気づくことを大事にしているひとびとが、 ある時突然「大義」に巻き込まれる不幸を思いました。
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ぴぴん
at 2008-03-12 11:05
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misaoさん わたしの思いは今日の記事にしましたが、
misaoさんに書いて頂いたことは、ほぼわたしの思い方と一緒でした。 自分が現実に、ある犯罪の被害にあった時には、 全然違う世界が開けるかもしれませんが。 また、加害者の代わりに家族が生き返るとしても、 一体どんな加害者だったら代わりに死んでもらっていいか、 わたしには線が引けません。 そういう選択肢が現実にあったら、恐ろしいことだなと思いました。 この話は少なくとも明後日まで続きます。どうぞお付き合い下さい。<(_ _)>
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