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2008年 10月 23日
仏教に対して、と言うか、仏教関係者の発言に対して、
違和感を覚える体験を、わたしは幾度も重ねている。 「仏教の方がいい」という前提に立って、 「キリスト教」や「西洋」に安直に言及し、 それがさらに「日本人論」に発展する話は、数多く聞いた。 「あなたの宗派の高僧は戦争を支持し、 多くの信者を戦場に送った。彼に戦争責任はないのか?」 「ない」 「では、人を殺すことは、仏教の教義には反さないのか」 「反さない」 というやりとりの場に居合わせたこともある。 死の床にある者の家族に、 「お布施をしたら、死なないようにお経を上げる」 というのもあった。この時は、迷う親族に、 「金が惜しいか、親の命が惜しいか」という追い打ちもあった。 大きな地震で数多くのひとが亡くなったあと、 犠牲者は「悪業で死んだ」と言った仏教者もあった。 1980年代の米国で、同性愛者の病と認識されていたエイズを、 「神罰」と評したキリスト教徒もあるわけで、 自分の接した仏教者への反感をそのまま、 仏教への反感とするのは短絡に過ぎる、とは思う。 「袈裟を頭から纏っていても、性質が悪く、つつしみのない者が多い」 とは、『ブッダの真理のことば・感興のことば』にも記されており、 そういうひとたちに対する怒りを言いつのって、 仏教者すべてを否定するのも幼い、とも思う。 そうは言っても、 仏教を避けたくなるような仏教徒との出会いがたくさんあって、 仏教書は、これまでのわたしの読書範囲から外れている。 数が少ない中で記憶に残るのは、 中学の時、塾の講師から教わって読んだ、 増谷文雄の『仏教とキリスト教の比較研究』。 倉田百三の戯曲『出家とその弟子』。 成人後に読んだ親鸞の『歎異抄』。 ティク・ナット・ハンの幾つかの著作、たとえば “The Long Road Turns to Joy − A Guide to Walking Meditation” (喜びに変わる長い道 − 歩く瞑想案内)。 タイトルに惹かれて読んだ、ロバート・M・バーシグの、 『禅とオートバイ修理技術』は面白かった。 仏教書とは言い難いが。 今回、原始仏教数冊を読んでみたところで、 薄情を薦めるような教えだなと、改めて思いはした。 お釈迦様と時代と文化を共有し、そのひととなりに触れながら聞いたら、 また違って聞こえるのかもしれないが。 今となっては、 現存する仏教書と現存する仏教者から伝わるものしかないので、 ともかくまぁ、あまり毛嫌いせずに読んでみて、 わたしとして仏教を受け取ってみることにする。 アメリカハナミズキ。 親鸞/しんらん 鎌倉時代初期の僧。浄土真宗の開祖。 倉田 百三/くらた ひゃくぞう 1891(M24) – 1943(S18)年 劇作家・評論家・超国家主義者。『出家とその弟子』は、親鸞とその弟子唯円との物語を描いた戯曲。 増谷 文雄/ますたにふみお 1902(M35) – 87(S62)年 仏教学者。 Thich Nhat Hanh/ティク・ナット・ハン 1926年- ベトナム人 禅僧・平和運動家・詩人。 Robert M. Pirsig/ロバート・M・パーシグ 1928年 – 米国人 作家・哲学者。
by pippinrose
| 2008-10-23 08:29
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