by pippinrose カテゴリ
以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 more... 最新のコメント
記事ランキング
ブログパーツ
|
2009年 01月 26日
2006年10月2日、アーミッシュの小学校の襲撃事件発生数時間後。
アーミッシュの、牧師を含む三人が犯人の妻子を訪ね、 悔やみと、「悪感情をもっていない」ことを伝えた。 また別のアーミッシュ男性は、犯人の父親を訪問し、 「わたしたちはあなたを赦しますよ」と伝えた。 それを皮切りに、アーミッシュ・コミュニティーと犯人家族の相互訪問が続く。 その行為を驚きを以て受け止めたひとたちに、さまざまな反応が生じた。 異文化の振る舞いを自分の文化的文脈で捉えての、賞賛や非難も生じた。 『アーミッシュの赦し』において著者は、 「赦し」に関する研究者、米国人心理学者のエンライトによる、 「赦し」の定義を引用する。(p.198 - 200) 一、被害を真摯に受け止める。 二、被害者には、道義的にも、怒る権利がある。 三、赦すためには、怒り憤る権利を、放棄せねばならない。 赦しとは、「与えるに値するとは限らない、加害者への贈り物」であり、 「加害者の悔悛や謝罪に依存せず、また依存すべきでない」とされる。 出来事を忘れたり、無かったかのように振る舞うのではなく、 容認や弁護ではなく、懲罰を免れるのでもない。 和解・即ち関係の修復とも異なり、 法的手段で加害者を遠ざけながら「赦す」こともありうる、とする。 もうひとりの米国人心理学者ワージントンは、「赦し」を、 「決意された赦し」と「心からの赦し」の、二類型に分けた。(p.210-211) 前者は、否定的感情が残っていても否定的行動はコントロールするという誓約。 後者は、否定的感情が、肯定的感情に置き換えられている状態。 アーミッシュのひとたちが犯人の家族に言った「赦します」とは、 「あなたがたの身内は私たちの子供に悪事を働きましたが、 私たちはあなた方を恨まないよう最善を尽くします」 という意味だと、著者は記す。(p.214) 憤り続け、恨みを抱き続け、怒りにまかせた行動に走らないため、 「言うは易く、行うは難し」(p.206)であり、 「闘いだよ。赦しを拒む力と真剣に闘わないといかん」(p.207) にも関わらず、 あえて「赦し続ける」ことを選ぶ、「決意」の表明なのだと。 近所の椿。白芯朴伴。 ロバート・エンライト (Robert D. Enlight) 米国人 心理学者 エヴァレット・ワージントン (Everett L. Worthington Jr.) 米国人 心理学者 この話、明日に続きます。
by pippinrose
| 2009-01-26 08:57
| 活字
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||