by pippinrose
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2009年 05月 01日
わたしの父は東京大空襲に遭ったひとで、
わたしは父方の祖父母に会ったことがない。 祖父は岩手県・祖母は高知県出身で、 父は北海道生まれの東京育ちと聞いて来た。 昭和の初年、 岩手の人が北海道に居るというのはさほど不思議に思わなかったが、 高知の人が北海道に居るというのは、ずいぶん遠いのにどうしてと、 ずっと不思議に思っていた。 父は仕事を引退し、少しずつ昔の事を書き記している。 先日実家に帰った時に、書いたものを見せてもらった。 父は、現在の北海道紋別市渚滑町・旧渚滑村で生まれた。 祖父は、町村合併で八幡平市になった、岩手県旧寺田村。 祖母は、高知県高岡郡の出身。 具体的な地名が出て来たところでネット検索をしてみて、 明治以降、四国から北海道に移民した人口がかなりの数に上るのを知った。 さらに参考になる情報がないかと検索し、 高知県からの移民に焦点を当てた書籍、『北海道開拓と移民』を見つけた。 既に絶版で、地元図書館にも無く、他区館から取り寄せてもらって読んだ。 この本によると、明治から昭和初期の北海道移民において四国地方は、 「東北・北陸に次ぐいわば第三の供給源としての位置を占めていた。」(p.76) 四国四県の中では高知県からの移民の比率は低いが、それでも、 明治15年から昭和17年までの61年間で、6,300戸24,000人以上が、 祖母の生年を含めた前三年間には、400戸近く1,300人以上が移住している。 高知県内でも高岡郡からの移住が多い。 移住先の多くは北見地方。特に渚滑村に多い。 また同書に引用されている『網走市庁開拓概観』(1917年・T6年)によると、 「近時移住の最も多きは 山形、宮城、福島、岩手、青森、愛媛、の諸県にして 愛媛、岐阜、山形、宮城、香川、富山等の諸県は 一時減少の傾向を示したりしも、近く再び増加の趨勢に在り。 其他従来より引き続き多数の移住者を出せるは、 前期諸県の他愛知、高知、秋田等なりとす」とある。(p.92) 祖父・祖母の出身県は、どちらも「多数の移住者」を出した。 つまり、明治末年に高知から親が移住し、北海道で生まれ育った祖母が、 昭和の初めに岩手県出身の祖父と渚滑村で出会い、父が生まれることに、 格別の不思議はないのだ。 祖母の名前は「雪野」という。 高知人がなぜ「雪野」なのだろうと思って来たが、 原野の広がる北海道で一月に生まれた娘の名前ならば、なんと自然だろう。 歴史学者の研究のおかげで積年の疑問が解け、すっきりとした。 それと共に、温暖の地から厳寒の地に移住し、 生活を切り開いた祖先の苦難を思った。 父種・ルイ14世の色の、縞が入ったぴぴんローズ2号。 『北海道開拓と移民』 田中彰・桑原真人共著 吉川弘文館 1996年 田中彰 (たなかあきら) 1928(S3)年 山口県出身 歴史学者 北海道大学名誉教授 桑原真人(くわばらまさと)1943(S18)年 愛媛県出身 歴史学者 札幌大学教授 五月に入り、通常通り土日祝日休みに戻るとともに、 週明けからしばらく連休します。
by pippinrose
| 2009-05-01 09:21
| 活字
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Comments(10)
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エリナ
at 2009-05-01 19:47
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へぇ~~~!と興味深く読みました。
自分のルーツを知るのっていいですね。 私も両親が生きている間にいろいろ聞いてみとけば良かったなぁ・・・と、思いました。 それにしても・・・おばあさまの名前、なんて素敵なんでしょう(*^^*)
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ぴぴん
at 2009-05-02 08:34
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エリナさん 明治25年から大正10年の間に190万人の移住があって、
うち東北は76万・四国は14万人、という数字もありました。 耐え難くて帰郷した率も高かったようです。 北海道開拓は、その後の満州や南米などの開拓移住の前哨戦なんですね。 「雪野」さん。 ある意味この名前に、謎を解く鍵があったんだなぁと、今になって思います。 本人にとっては、北の大地を離れても、一生負った生誕の地の印だったでしょうね。 故郷から離れた土地に行ったひとの子孫だから自分も、 故郷から遠く離れたところに住むつれあいと、 一緒になる気になったのかなと思ったりします。 エリナさんのご両親はすでに亡くなられたのでしたね。 エリナさんのお子さんに、エリナさんと御夫君のことが、 伝わって行くといいですねぇ...
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KOU
at 2009-05-02 08:35
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こんにちは~
ルーツを辿れる~って凄いですね。 KOUはもう父母とも亡くなり~殆ど判りません~どうも怪しい出自のようです。
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ぴぴん
at 2009-05-02 08:40
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KOUさん いやぁ... 父も辿れるとは思ってなかったと思いますし、
わたしもネット時代でなければ、この本には辿り着けませんでした。 怪しい出自ですか?立派そうな出自の方が怪しいかもしれないし、 当時怪しくても、今その力が子孫に生きてりゃいいんじゃないかしらん。 どうでしょう。
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KOU
at 2009-05-03 13:38
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こんにちは~
そうなんですよね~KOUはもう先が見えて大したことないので子孫に期待しましょう。(^^♪
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ミセスサニー
at 2009-05-03 18:32
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高岡郡と聞いて・・・四万十周辺を走った時の山を思い、司馬遼太郎の「夏草の賦」の土佐のお国事情を思い出し、それでも移住とはずいぶんな賭けだった事と考えましたよ~
ところで、ぴぴんさんの紹介によって、 「聖おにいさん」1~3読破してしまいました。 中高の子ども達は難しい、と言ってましたし、 私も時々どういうこと~??というギャグに出会いますが、 悪意のない読み物である事がわかって安心してスルーできます。 大衆娯楽にこのように聖人達が取り入れられる、 この方向から宗教に接していく人たちがいると思うと 文化の流れって、予想もできない事なんだなと感心しきり。 時々つぼにはまる表現に出会ってはひとり(爆)してます。
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ぴぴん
at 2009-05-03 21:06
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KOUさん 自分では何かを成したと思っているところに子孫は背き、
自分では大したことないと思ってるところに子孫は意味をみつけたりもするので、 まぁ、ぼつぼつやって行くのがいいかなと思います。^_^)
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ぴぴん
at 2009-05-03 21:34
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ミセスサニーさん 四万十川って、高知西部を流れてるんですね。
土地勘が無くて、自分では連想できませんでした。 司馬さんの『菜の花の沖』で、江戸時代から瀬戸内海と北海道をつなぐ 航路の存在を改めて意識しましたが、 『夏草の賦』で土佐のお国事情が伺えますか。 司馬さん読むのはしんどいですが、読んでみることにします。 高知からの移民は四国四県の中ではほんとに少ないんです。徳島が一位です。 ご紹介、ありがとうございます。 『聖おにいさん』わたしもようやく三巻を買いました。 >中高の子ども達は難しい、と言ってましたし、 ははぁ〜!そうなんですね。やはり原典が分かっているから可笑しいんですね。 >大衆娯楽にこのように聖人達が取り入れられる、 1995年の新新宗教の事件から日が浅ければ、 連載不可だったんじゃないかと思いますが、 今はまた、別の機運が熟しているのかなと思いました。 作者も若く、明らかに新しい世代ですね。 毎回可笑しいとは限りませんが、ツボにはまると破壊力はなかなかのものです。 「足を洗いたい... 」や、尾崎豊の『15の夜』のあたりを読むと、 作者のセンスがいいなぁと思います。
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クミン
at 2009-05-03 22:02
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ぴぴんさん、こんばんは^^。
自分のルーツをたどれるって良いですね~。 北海道で出会った二人にどんなロマンスがあったのでしょう? sakiさんのお母さんの恋話も思い出され、妄想がふくらみます^^。 ぴぴん2号、かっこよく咲きましたね! 花びらが落ちてシベだけになった所も可愛いです。
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ぴぴん
at 2009-05-04 10:10
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クミンさん 二世代前の生活を知って、いま当たり前になっている生活とは、
違う時代だったんだなということが実感されました。 わたしたちの孫の世代も、今のこの時代を過去としてふりかえるんだなと思うと、 世代の違いっておもしろいなと思います。 ロマンスは... どうなんでしょうね。 そういうことばかりは、本人たちが生きてないとよくわかりませんね。 2号。蕾の間に日光に当たっていた部分に縞が出ました。 蕊のまるまらないところは、わたし好みです。なんとなく五角形ですよね。 先日交配した分も結実し、ピンピ×ルイの孫はどんなになるか楽しみです。^_^)
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