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2011年 07月 08日
震災後の片付けが続いている我が家の、
押し入れの奥にしまった漫画の箱の中に、 昨年亡くなった漫画家・佐藤史生のSF作品集、『天界の城』をみつけた。 この文庫に収められている 『阿呆舟』『馬祀祭』『天界の城』『羅陵王』『やどり木』は、 いずれも、異物との接触で人間が変わってしまう、 ことをテーマにしている。 1980年の『阿呆舟』の結末はカタストロフィーだが、 発表年度が進むごとに混乱の色彩は薄まる。 『やどり木』では、 宇宙の総合商社から惑星を買って移民したひとたちが、 「自らの宿るその母たる惑星を汚さず、 その兄弟たるすべての生物を圧迫しないこと」を 「かたくなに」選択する。 商社が売ろうとする 「水耕プラントも そのために必要な水をつくるプラントも そのプラントに動力を供給する原子炉も そのための原子燃料をつくる増殖炉も」、彼らは買わなかった。 ただ、惑星を人間が住めるようにする「惑星改造機」の 保守だけは受けねばならず、緊急の事故があれば 「信じがたいほど高くつく」危険を負っていた。 事故で全てを失う危険を避けるために彼らは、 移り住んだ惑星の秩序に加わることを選ぶ。 それは、それまでの「人類の文明」の 終わりを意味するのかもしれないが、 「まったく新しい宇宙」に触れることでもある。 * * * * 人類の都合で惑星を改造するのではなく、 惑星の秩序に人間を組み込んで行くことは、 いまだかつてない人口を乗せている地球に 必要なことではないかと、語るひとは多い。 過去数千年にわたって地球の自然と戦い、 超克しようとしてきた人類の文明が、 その方向を転換するのは難しいのではと思いつつ、 物語の夢見る新しい秩序は、たとえ幻でも、 わたしの中に滞る澱を少し、浄化してくれる。 希少価値から「四葉のクローバー」同様、幸運の印と理解するか、 奇形ということで「放射線障害」を連想するか。 人間の思惑とは関係なく順調に育っている。 * * * * 「ブログは続けられないかも」という思いも抱きながら、 思ったよりも早く記事がひとつできました。 しかしさまざまな片付け作業は今も続いており、 写真がほとんど撮れない状態も続いています。 ブログがどうなるかはまだ分かりませんが、 少なくともまだしばらく、更新は間遠く不定期になると思われます。
by pippinrose
| 2011-07-08 10:24
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Comments(6)
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aosta
at 2011-07-11 05:56
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しばらくブログ更新はお休み、とは知りつつも気になって、時々覗いていた甲斐がありました(笑)。
残念ながら佐藤史生の作品は読んだことが内と思います。 画像検索をしてみましたら、絵の雰囲気は知っているような気がしました。昔私が夢中になった萩尾望都の作品は、娘も中学のころから読み始め高校生になった頃は、発売と同時に、リアルタイムで、二人で先を争いながら読んだものです。 しかしながら、佐藤史生は知りませんでした。 「やどり木」とはタイトルだけですてきですが、ストーリを読むとこのタイトルには、いろいろなメッセージが込められていることに気が付きました。 >更新は間遠く不定期になると思われます。 何もしないこと、手ぶらでいることが必要な時もあります。 時が満ちたら、何をすべきか、したいのか見えてくるのかもしれませんね。
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ぴぴん
at 2011-07-11 20:44
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aostaさん 見に来てくださっていて、ありがとうございました。
萩尾さんと佐藤さんは発表雑誌が重なっていますので、 (たとえば『メッシュ』と『夢見る惑星』) 萩尾さんを目的に買われた雑誌で佐藤さんの絵を 目にされたことがおありかもしれませんね... やどり木は、増え過ぎて宿り主を殺すと、生きて行けないものですね。 静かな時間と空間が必要です。 つれあいは先日、aostaさんが先年詩の朗読をされたモナステリィに、 リトリートに行っていました。 わたしもなんとか予定をつけたいと思っていますが、 今はまだ、あれこれに動かされています。
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aosta
at 2011-07-14 06:29
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>萩尾さんと佐藤さんは発表雑誌が重なっていますので
娘と読んだのはこれらの作品がコミックになってからでしたので、連載中の佐藤さんの作品を雑誌で知ったということはなかったはずですなのですが。 そうですか、ご主人さまがこちらにおいでになられていたのですね。 ぴぴんさんもいらっしゃるのかもしれない・・・ ここ八ヶ岳山麓には、他にもリトリートのための場所があります。 風を感じる場所だからでしょうか。 不思議な場所だな、と時々思います。
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ぴぴん
at 2011-07-14 08:44
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aostaさん コミックでお読みだったのですね。
接する機会はなさそうだったのに、 雰囲気を知っているような感じがあるというのは、おもしろいですね。 彼はとてもよい時間を過ごせたようです。 「町に移住したいくらい」だそうです。 夏はひとが多くなるとうかがい、わたしはちょっと迷っていました。 今月中に行けたらいいなと思っているのですが...
なにかうれしい気持ちです。
ぴぴんさんの雰囲気がまた味わえる、、、 宿り木は増え過ぎて 宿り主を殺すこともあるんですよね。 ここいらには宿り木がいっぱいあるんです、、
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ぴぴん
at 2011-07-18 12:45
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はるこさん うれしい気持ちとおっしゃっていただけて、
ありがたく思います。 まだ、迷いの中にあります。 名前を変えて出直そうか、とかいうことも考えます。 宿り木は宿り主を殺しても別の木に子孫を残せますが、 地球人の場合、別の地球に行くというのは難しいです。
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