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2012年 01月 30日
美術館で展示されるものの中で、
わたしの足が最も向きにくいのは書道だ。 何が書いてあるか分からない、ということにかけては、 書は抽象画よりも分からない、というのが、 わたしのこれまでの体験だった。 漢字の始祖である亀甲文字や金文(きんぶん)を書にすると聞いても、 「活字としてしか目にすることが少なくなり、痩せた漢字に、 象形文字としての活力を呼び戻す試みなのだろう。 しかし、象形文字に戻したところで、 見ただけでは何の字かほとんど分からないし、 字義を示した辞書的な解説を読まなければ理解できない、 知的な世界だ」と思っていた。 上野の森美術館で開催されていた「加藤光峰展」に行って、 わたしのそういう体験や思い込みは打ち壊された。 展示室へ向かう廊下から遠くに見えた「甲」の文字に、 まず捕まってしまった。 「何が書いてあるのか?」と頭が動き出す余地無く 直接的に身体に染み込んで来る。 ほとばしる線、うごめく線、ふりそそぐ線、 月光の線、日輪の点、 みなぎる形、ユーモラスな形。 タイトルだけでストンと入る題意。 立ち止まって見ているほどに訴え続けて来るものがあって、 鳥肌が立って来た。 原発事故後のわたしは、 人間の営みに空しさを感じがちなのだが、 線と空間で創り出された世界に驚き、 こんなものが創出できる人間という存在に 希望を感じた。 震災に対する直接的な回答ではなくとも、 ひとに生きようとする力を与え得る、 芸術というものの力を思いながら帰途につき、 今もその力に抱かれている。 ![]() 加藤光峰(かとうこうほう) 1934年(S9年) 北海道室蘭市出身 東京学芸大学書道科卒 龜甲會主宰 書家。 国内のみならず米国・台湾でも個展が開かれている。 * * * * ブログを冬休みにしていた間、わたし本人は仕事に私事に忙しくしていた。 今週からしばらくは、家で校正の作業を主にする予定。 「冬休み」中の体験は頭の中を忙しくしており、 校正に使う脳のスペースを確保するため、 体験を記事にして頭の外に収めたい。
by pippinrose
| 2012-01-30 07:06
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