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2015年 06月 14日
ブログの友人の紹介を受けて、
銀座のギャラリー悠玄の空間を使った 田尻幸子さんのインスタレーションを見に行って来た。 わたしは現代美術を見る経験はほとんど無く、 どんな体験になるのだろうかと思いながら行った。 * * * * 半地下の白い壁の空間に、 黄土色に焦げ茶の部分がある木の枠が いくつもの垂直と水平の線を描いて立っていた。 白熱灯色の光が壁に時に斜めの影を映している。 大きな拍と小さな拍のリズムがある。 しばらく見ていて、気づくと 「中に入っていいですか?」と問うていた。 「どうぞ」と言われたとたんに 作品の中に向かっていた。 向こうに通り抜けられる 道のように見えるところから入ると、 身体にぎりぎりの幅。 枠に触れて揺らしてしまって 身体がふっと縮まるのは、 子どものころのゴム段で、 ゴムの間をくぐるようだ。 ジャングルジムの中に、 身を置く空間や通れるルートをみつけたように、 腕を身体に寄せてようやく収まる 行き止まりの中に佇んでみる。 しゃがめば直進できる道をみつけて 枠をいくつもくぐる。 蹴飛ばさないように大きく足を運んでまたぎ 細く腹這いになってぬける。 集中して動いてるうちに 身体と心が静まってゆく。 ひとつ通り抜けるたびに 身体と心がおだやかにゆるむ。 * * * * 画廊を後にしてからも その世界につながる糸を引いているようで、 身体は静かで心は動いていた。 作品にすっと魅かれて 中に入りたくなった体験をふりかえっていて、 ふと、 アメリカ先住民の「ドリーム・キャッチャー」は こんな風に夢をつかまえるのだろうかと思った。 あの空間が「ドリーム・キャッチャー」で、 つかまえられた夢がわたし。 ドリーム・キャッチャーが、悪い夢はやり過ごし 良い夢をつかまえて眠りの中に落とすように、 わたしの中の緊張して賑やかな部分は消え、 静かで落ち着いた部分が現われていた。 これは、 わたしがラビリンスを歩く時の感覚に似ている。 また、 わたしがこの作品に引き寄せられた感覚と、 ラビリンスを一目見て魅かれたと言う人たちの体験が、 重なって感じられる。 初めてラビリンスを見た時には 特別なインスピレーションを感じなかった自分が ずっと残念だったのだが、 これかと感じる体験ができてうれしかった。 田尻さんの作品そのものについてはこの方のブログに、 言葉と写真で詳しく描写されている。 中に入ってくぐってしまったのは わたしだけでなかったと知りほっとした。
by pippinrose
| 2015-06-14 12:07
| 視覚
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Comments(2)
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クミン
at 2015-06-18 20:55
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ぴぴんさん、こんばんは^^。
ぴぴんさんみたいに作品を楽しんでくださるお客さまって最高です! そんな風に思ってもらえて、作家さんも冥利につきると思います。 私、モダンアートの中でインスタレーションって一番面白いと思います。 庭に植物を植えていて、これもインスタレーションだよねって思ったりするんだけど、それはあまりに厚かましいですね(笑)。
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ぴぴん
at 2015-06-19 08:41
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クミンさん おはようございます。
ギャラリーの中に居る間は当たり前のように感じていたのですが、 「作家さんたちは私が作品を壊さないかと、内心ヒヤヒヤだったのでは」 「初めて会った人たちの前で床を這っちゃった」 と反省する理性が、後になって働き始めました。 現代美術というと、衝撃的とか、頭が解釈に忙しくなるとか、 圧力をかけて押して来るものを連想していましたが、 今回はまるで違い、耳目には静かなのに自分の内面が動き出す、 不思議な体験でした。 この年にしてまったく新しい体験が出来て、幸せでした。 そうか、庭づくりも空間を変化させるものですね。 そして、作り手の主張が見える庭と、 来た人をおだやかに包み静かに癒してくれる庭がある。 現代美術も、古くからの活動の新しいヴァリエーションなのですね...
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