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2015年 10月 10日
「本書を貫くテーマのひとつは〈間(あいだ)〉という概念であり、
世界を把握し理解するために使われる二項対立の、 その〈間〉には何があるのかという問いである。」P.37. * * * * 1960年代シカゴ大学の宗教学「黄金期」。 その中心にいたミルチャ・エリアーデについては、 日本語に翻訳された著作集があり、文庫も出ている。 けれども、シカゴ大学でエリアーデと その先人のヨアヒム・ヴァッハに学んだ チャールズ・ロングの思想は、 日本ではまだほとんど紹介されていない。 『宗教と宗教学のあいだ』は、 庭野平和財団の助成による 研究プロジェクトの成果として出版された。 ロングと、彼と親交のある インド人社会学者のアシス・ナンディ。 さらにその次の世代の学者たちが、 討議を通じて熟したテーマに関連した 論文を提供している。 * * * * 「宗教」と「非宗教」 「合理」と「非合理」 「西洋」と「東洋」など、 対立する二項を立てて考える方法は、 世界を把握する便利な習慣のひとつだ。 けれども、現実の世界は 対立項で語りきれる以上に複雑であることにも、 多くの人が気づいている。 論文の多くは、 対立項の「あいだ」に位置する具体例を上げている。 ネイティブ・アメリカンやアフリカや インドや日本の宗教と「西洋」の宗教。 言語化され概念化された宗教と 言葉以前の体験としての宗教。 宗教を背景に持つ大学と持たない大学。 宗教と政治。など。 それらの「あいだ」にあるものを見るために、 体験や身体性、イメージやシンボルに注目し、 二項の接触によって生まれ出たものを記述し、 一方に属するはずのものが他方を含んでいるさまを指摘する。 宗教学を学ぶひとにとっては 専門書としての意味があるだろうし、 わたしのような門外漢にとっても 新しい視野を与えてくれる書物だった。 リチャード・ガードナー、村上辰雄共編著『宗教と宗教学のあいだ』、 上智大学出版、2015年。 執筆者:チャールズ・ロング、アシス・ナンディ、 ウィリアム・ラフルーア、ダヴィ・カラスコ、ローレンス・サリバン、 フィリップ・アーノルド、ジェニファー・リード、 荒木美智雄、島薗進、宮本要太郎、谷口智子。 リチャード・ガードナー、村上辰雄。 * * * * これが、足かけ四年関わって来た「本B」だ。 今月、この研究を踏まえたシンポジウムが開かれるため、 今はその準備に心が行っている。
by pippinrose
| 2015-10-10 09:44
| 活字
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Comments(2)
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花
at 2015-10-11 11:42
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ぴぴんさん、こんにちは。
長い間取り組んでいらっしゃったものがまた一つ形になったのですね。おめでとうございます。 2日の記事も、仕事がひとつ片付いて、心の中も片付いて、の上での身の周りのお片付けなのですね。 この夏は政治の季節となりました。 ぴぴんさんのブログの記事にもコメントをつけたいことが度々あったのですが、どうにも心が「片付か」なくて文章になりませんでした。 ともすれば泣き出したくなるけれど、よろよろとでも「ダメなものはダメ」と言い続けなくてはと思っています。主権者はわたしたちなので。
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ぴぴん
at 2015-10-11 20:06
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花さん ありがとうございます。
書いてくださったとおり、 本の仕事を終えてあれこれ片付け中です。 もう数ヶ月で学校も終わると、 なお一層片付いた感じが得られるでしょう。 震災以来の一連の展開に対しては、 次に何が来るかを気にしています。 財務省の税還付案や、 国連に対する政府や外務省の発言から、 中枢はあんな状態なんだ、ということも分かりましたし。 気力体力が持つように休息も取りつつ、 生き延びたいと思っています。
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