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2007年 12月 24日
クリスマスになると思い出す出来事がある。
ある夏。当時フィレンツェに住んでいた、 つれあいの友人である米国人を訪ね、お宅に泊めて頂いた。 子供部屋が、わたしたちの寝室として開放された。 昼下がり。わたしがその部屋で休んでいると、 部屋主である小学校三年生の男児が、 イタリア人の学友姉妹三人をつれてやって来た。 部屋にあるものを、彼女たちに見せる約束をしたのだと言う。 どうぞどうぞとわたしは部屋の隅に行く。彼は、 青白い骸骨がエレキギターを弾いている、 巨大なポスターを取り出した。 女の子たちは珍しそうに見ている。 わたしも「カッコいいね。誰にもらったの?」と聞いてみた。 「サンタさんに」と、彼は答えた。その途端。 小学校高学年・中学年・幼稚園児と思しき、 イタリア娘三人の目が、ぱっちりとわたしに向けられた。 (サンタさんだって。この東洋人は、何て答えるのかしら) と、その目は問うていたと思う。 「そうか〜 サンタさんか〜 それは良かったね」と、わたしは答えた。 三人の目はふっと、ポスターに戻った。 年上の娘は、もうサンタを信じていなかったかもしれない。 級友の娘は、半信半疑だったかもしれない。 幼稚園児は、信じていたかもしれない。 ただ三人とも、わたしの答が知りたかった。 部屋主だけが全く頓着無く、ともだちに見せる他の物を探していた。 文科省推奨品のようなものではなく、 骸骨のロックギタリストのポスターを持ってくるサンタ。 わたしは彼のこども時代が、ご両親によって、 暖かく保護されていることを思った。 親でも親戚でも友人でもなく、何か特別な存在が、 自分を知っていてくれて、自分を喜ばせる贈り物をくれる。 それは、人間の力を越えたものに見守られているという、 生き生きとした喜びと感謝の体験だ。 おとなにとっても、「わたしがあげた」という、 エゴイスティックな名札付きの品ではなく、 純粋な贈り物をする機会として、貴重だ。 サンタクロースはいる。 信じているひとのところには、 おとなになってからもサンタは来る。 おとなはサンタクロースになれる。 無名の贈り物の贈り手として、 誰でも、一年中、サンタになれる。 メリー・クリスマス!
by pippinrose
| 2007-12-24 07:29
| 出来事
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Comments(4)
文章にフムフム…うんうん…と言いながら読み進み、
最後に写真で感動させていただきました。 神々しい光の中に今にも入らんとする鳥――― なんだかもう、うまく言葉にあらわせません。 メリー・クリスマス!
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kyara-mama
at 2007-12-24 10:17
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ふと、デューラーの版画を思い出しました。
彼もこんな景色を見ていたのかもしれませんね・・・・ メリークリスマス!
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ぴぴん
at 2007-12-24 11:21
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misaoさん 喜んでいただけたようで、嬉しいです。^_^)
モノのやりとりに終始するか否かは、 ひとの思いひとつにかかっていると思います。 「わたしがやったんだからね!」という、札付きの贈り物は、 クリスマスに限らず多くて閉口します。^_^;) 年末年始にかけて、ひととのつながりを温め、 人智を越えたものへも、思いを致したいと思います。 午前中かけて、英語版を作ってみました。 もちろんつれあいのチェックが入ってます。
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ぴぴん
at 2007-12-24 11:28
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kyara-mamaさん 北方志向があるので、北方ルネサンスの絵画も好きです。
暗い中に光を灯すのが、冬至の祭りとしてのクリスマスの一面ですね。 わたしはどうも、そういうものに惹かれる癖があります。 今年もあと一週間。 つつがなく新年を迎えられますように、祈念申し上げます。
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