by pippinrose
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2009年 01月 13日
年末、NHKでターシャ・テューダーの追悼番組が放送された。
葬儀は行わなかったそうだが、追悼の会が行われ、 聖歌を歌いながら小さな灯籠を池に放っていた。 歌われていたのは “Simple Gifts” 。 もとはキリスト教の一派であるシェーカーの賛美歌で、 1944年にコープランドが作曲した『アパラチアの春』に採譜され、 他のプロテスタント教会でも歌われるようになった。 'Tis the gift to be simple, 'tis the gift to be free, 'Tis the gift to come down where we ought to be, And when we find ourselves in the place just right, 'Twill be in the valley of love and delight. When true simplicity is gain'd, To bow and to bend we shan't be asham'd, To turn, turn 'twill be our delight, Till by turning, turning we come round right. 純朴であることは神の賜物、自由でいることは神の賜物。 自分の在るべきところに下ったことも。 自分が正しい場所に在ると気づく時、 そこは愛と喜びの谷間になる。 真の純朴さに至る時、 頭を垂れ、身を低くするのを恥じない。 巡ることは喜びになる。 巡り巡って正しさに至る。 (ぴぴん訳) なるほど、ひとびとに取ってターシャは、 “simple”/「シンプル」=「単純・質素・実直・純朴」 さを 投影できる相手だったんだなと思う。 街の生活に比べればはるかに複雑度は低いが、 ターシャの庭やクリスマスの準備は、 彼女の服装が一般的だった時代には、 かなり豪勢なものだと思う。 あれが「シンプル」に見えるのは、 新しい物を追いかけ、得ては捨てる生活が、 当たり前になった眼ならではと思われる。 ターシャの影像を見るたびに、わたしは米国の母を思い出す。 面影も生活も重なるところは無いが、 淡々とした明るさが似ている。 母は車も電子レンジも持っていたし、 エアコンもペーバータオルも使い、飛行機に乗って日本にも来たが、 気ばらしにものを買ったり、飾ることをしないという点で、 日常生活は「シンプル」だった。 二十一世紀の日本国にあっても、 この時代なりの「シンプル」は生き得るだろう。 情報にあふれ、刺激に曝されがちな環境の中で、 それらから身を守るのは、難しいことではあるけれども。 ボネット・スー(Bonnet Sue/あごひも帽をかぶったスー)というモチーフ。 ターシャ・テューダー(Tasha Tudor) 1915 - 2008年。米国人。絵本画家・園芸家。 五十七歳で移り住んだヴァーモント州の家と庭で、 息子たちの力を借りて、十九世紀さながらの様式で生活を営んだ。 日本では近年、NHKの番組を通して広く知られるようになった。 シェーカー(shakers) キリスト教プロテスタントの一派。 1747年、英国でクエーカーから分派。 1774年、米国に移住。米国東部〜中西部に居留地を築いた。 二十万人が入信したとされるが、一時的な参加者も多かった。 最も大きな集団になったのは19世紀中葉。6000人。 今世紀にも数名の存命者が在る。 アーロン・コープランド(Aaron Copland) 1900 - 90年 米国人。 作曲家。 『アパラチアの春』(Appalachian Spring)は、1944年初演のバレエ音楽。
by pippinrose
| 2009-01-13 08:53
| 聴覚
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Comments(4)
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Junko
at 2009-01-13 12:29
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ぴぴんさん、"Simple Gifts"という曲だったのですね。この曲、あちこちでよく耳にしていたのですが名前も歌詞も知りませんでした。シェーカーの賛美歌だったのですね。シェーカーの工芸品もとてもシンプルですよね。
そして、キルトをご披露くださってありがとうございます! シンプルだからこそ、とても表情豊かなスーに見えます。そして細かいキルティング!私も作り手の愛情を感じます。毎日の生活の中にアンティークキルトがあるなんて素敵ですね。明日も楽しみにお待ちしています。
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クミン
at 2009-01-13 13:24
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ぴぴんさん、今(:お昼休みに)ターシャの番組の録画を見たところだったので、こちらにお邪魔して、あの歌がsinple giftだったこと、そしてその歌詞の内容を教えていただき、とても嬉しかったです。
シェーカーの家具や建築、工芸は日頃から敬意を払っておりましたので、それも嬉しかったです。 ぴぴんさんに感謝です! それから(ぴぴんさん、こちらに書かせてくださいね!)ターシャ・チューダーの番組の放送を教えてくださったkatatakaさんに感謝です^^。 バラ友のおふたりのおかげで素敵な時間をいただき、有難うございました。
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ぴぴん
at 2009-01-13 17:17
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Junkoさん つれあいの教会の賛美歌集にも載っていますし、
日本でもCMに使われたりしていますが、もとはシェーカーのものです。 そう思って聞くと、シェーカーらしい歌詞ですよね。 スーが20人のベッドスプレッドです。 白い正方形が30センチ以上あって、モチーフとしてはけっこうでっかいです。 布の色模様に時代を感じます。
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ぴぴん
at 2009-01-13 17:18
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クミンさん おお! いいタイミングでしたね。
さすが、彼等の建築もご存知ですね。明日はシェーカーについての記事になります。 自分では知らなかった放送を、お知らせ頂いたので見ることができました。 それで、今日の記事にもなったわけで。 読んで喜んでいただけると、わたしも更に嬉しく。 「バラ友の輪!」はありがたいですねぇ〜 ^_^)
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